第2章

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食後に膨れた腹を摩ってソファでぼんやりバラエティ番組を見ていた俺の目の前に、兄貴がチャリっと音をさせて何かをぶら下げた。 「…鍵?」 「なんか煮詰まったり、ひとりになりたいときあったらこれ使え」 「何、どこの?」 「学校の屋上の鍵」 ガバっとソファから飛び上がった。 「なんでこんなのあんの。うちの学校、屋上の出入り禁止してんじゃん!」 「俺がいた時、スペアを借りてたんだよな」 そういえば兄貴は在学中、生徒会長様をやっていたらしい。 「職権乱用…。そしてその鍵を返し忘れていたな?」 そっぽ向いて鼻を掻く兄貴。 しっかりしてそうで、どっか抜けてんだよな…。 でも、その優しさが嬉しかった。
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