第2章

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幸い今日は現国の授業がない日だから、夏井と顔を合わせることはなかった。 廊下の先で女子生徒に囲まれている長身を見かけたから、入りたくもなかったけどトイレに逃げた。 一応習慣で便器の前に立つけど、やっぱり出ない。 「………」 あいつは涼しい顔で笑っていた。 俺のことなんて忘れた顔で。 大人の余裕かよ…って、俺のことにも気がついてないんだから当然なんだろうけどさ。 こっちばっかり気にして、癪に障る。 俺だって気にしてなんかいない。 あんなの、ちょっと体が傾いただけの事故だろ? 本当にキスされたわけでもないのに、何意識してんだ、俺。 気にしなけりゃいいんだろ。
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