第3章

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その隙に夏井は俺の指に更に舌を這わせ、指の股まで擽った。 「……っ」 ゾクリと背筋に感じる寒気。 …多分、寒気だ。 そのはずだ…っ。 下半身になんて、何も感じてなんかいない! 夏井は動揺する俺をジッと見つめたまま、ようやく口から離す。 …が、握ったままの手は離してくれない。 その瞳に魅入られて、俺は動けなかった。 引っ込めなければならないはずなのに、力が入らない。 夏井は絡めた指を微妙なタッチでなぞり始める。 余計に、力が抜けていく……。 5つの指はまるで恋人つなぎの様に互い違いに組み合わさって、親指だけが掌を這い回っていく。 その動きは明らかに“愛撫”だった。
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