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映画なんてとても見ていられなかった。
迫力のある腹に響くほどの音のはずなのに、耳から抜けていく。
ぎゅっと目を瞑って、俺を襲ってくる妙な感覚を逃そうと努力するのに…それは無駄なものでしかない。
夏井も映画なんて見ちゃいなかった。
映像の光に反射してキラリと光るその目は、俺を金縛りさせる。
…なんで。
なんで。
なんで。
なんでこんなことするんだよ…。
お前、何がしたいんだよ。
俺をどうしたいんだよ。
こんな…こんな。
なんて…エロい…。
自分でも顔が熱いのが分かる。
明るい場所で見ればきっと真っ赤になってるはず。
息が上がってきそうになる。
たったこれだけのことなのに。
さっきは認めたくなくて意思だけでなんとかなったものが、再び込みあがってくる。
直接的な刺激でもないのに、なんで…っ。
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