第3章

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限界を意識の端に捕らえて、焦りまくる俺。 …突然、夏井が俺の手を取って席を立った。 映画の途中だとかそんなことは無視して、暗がりのなか腕を引かれたまま出口に向かう。 前かがみ状態の俺はそれに従うしかできなかった。 明るい廊下は、幸いどこのスクリーンも上映中のようで人はいない。 暗い、そして混乱した空間から突然明るいカラフルな現実に引き戻されて一瞬ぼけっとしたバカな俺。 「…ヤバいんだろ?」 すぐに夏井の腕をふりほどいて、俺は入り口の反対奥にあるトイレに向かって走った。 …前かがみで、すげぇ無様だけど。
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