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俺がギャンギャン吼えていたら、突然車が止まった。
「ほら。着いたぞ」
「え」
見覚えのありすぎる場所は、俺の家の前…。
案内もしなかったのに。なんでこいつ俺の家知ってんだよ……。
「今日は買い物助かった。ありがとう」
は。
今……こいつが俺にお礼言った?
「…なんて顔してんだ」
「は? どんな顔だよ」
真顔で見つめられて、一瞬またキスされんじゃないかと心臓がドキドキと存在感を主張し始める。
「………いや、いい」
くしゃっと頭を撫でられて、反射的にバシッとそれを跳ね除けた。
「それ、ちゃんと読めよ」
俺の態度なんて気にもしないように、本を指差して夏井は静かに車を発進させていった。
……キスじゃ、なかった。
残念とか、思ってねーよ!
思うわけねーよ!!
なんなんだよ横暴教師。
マジであいつといるとペース狂う……っ!
撫でられた髪を掴んだまま……なんとも言えない顔をして俺はその後姿を見送った。
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