第3章

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それから食後も俺は本を読み進めた。 映画のシーンを思い出しながらなので、俺にしては早く理解が進む。 後半に向かって畳み掛けるようなスピード感のある謎解きは、途中でトイレに行って中断するのももったいないと思うくらいだ。 そして…深夜に差し掛かった頃…。 この辺から、記憶にない。 ……夏井にちょっかい出されて、映画を見てられなかったせい。 あいつへの怒りもついでに蘇ってくる。 いや、怒りともちょっと違う……?  とにかく恥ずかしくてたまらなかった。 こんな場所で、なんてことすんだって。 本当なら、あいつを教育委員会に訴えたっていいはずなのに。 思いっきり反応しちゃってるから、面と向かって訴えられるような立場がない気がするし……。 だって……キスの時だって、今日の時だって……気持ち悪くはなくて。 拒絶しきれなかったような…。 なんか、そんな。 嫌いなヤツなのに。 「あーもう!!」 なんだか体の芯の感覚まで蘇ってくる気がした。 でも、もう、それはダメだろ……。 本に集中できなくなって、俺はまた火照始める身体を無視するように不貞寝を決め込んだ。
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