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デビュー。
悠馬のデビュー戦は呆気ないものだった。
ゲートに入り、出、気がついたらゴール。
レースは朝の調教とはワケが違い、悠馬は揉まれ、馬の背にしがみつき、無我夢中で阪神の芝コースを回って来ていたのだ。
その中で、無我夢中で終わった中で悠馬がなんとか騎乗馬をを5位に連れて来ていたのは流石"天才"と言うべきか。
レースが終わり、馬の背から降りた悠馬はヨロヨロとしゃがみこんでしまい、厩務員の心配したような声が飛ぶ。
それに悠馬は苦笑する。
「膝がゴムみたいになった。力が入らないです…」
「通過儀礼だ。」
先輩騎手の一人が悠馬をどつきながら横を通る。
「。はぁ。」
悠馬はなんとか立ち上がり、検量室へ向かう。
「レース内容、ほとんど覚えていないや」
速野の声は、レース後の騒ぎに紛れ、消えた。
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