渡り鳥に止まり木を

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「一体、何が起きているんだ?」    俺は息を切らしながら、今までに遭遇したことのない反応に唖然としていた。    持っていた木材は蹴りで粉砕した。  落ちていた石を拳で割ってみせた。  木を揺らし、舞うように落ちる葉っぱを高速の拳の連打で全て掴んでみせた。  その度に周囲からは歓声が沸いた。だが、その質や向けられる眼差しは何か違う。そう、これはまるで……。 「ねぇ、もう終わりかなぁ?」 「そうねぇ。大道芸なんて久しぶりなのにねぇ」  小さな子を連れた親子の声が耳に届いた。 「だ、大道芸だと?」  驚きは思わず声となって出てしまった。そして、その声が届いた村の全員が首を傾げた。おそらく、全員がその認識だったのだろう。  そうか、と思った。俺が感じていた歓声や眼差しの質の違い。それは、全員が楽しんでいるものだったのだ。俺の行いは全てが『芸』として認識されていたのだ。  こんな屈辱は……初めてだった。
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