渡り鳥に止まり木を

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「……こ、ここは?」  霞む視界に映っていたのは見知らぬ光景だった。  高い天井に暖色のランプ。そこが室内なのは解ったが、どこにいるのかは解らない。見知らぬ場所で俺は横たわっていた。 「……痛っ」  ゆっくりと身を起こすと、俺は側頭部に感じる鋭い痛みに顔をしかめた。同時にぼんやりとしていた頭の中で、記憶が蘇り、駆け巡る。 ――あぁ、そうか。俺は吹っ飛ばされて……。  記憶が途切れるまでのことは思い出せた。しかし、ここまでの経緯はわからない。俺は何処に運ばれたのだろうか?  周囲を見渡してみたが、どうやら誰かの家らしい。台所は様々な食材が置いてあり、調理中なのだろう。味噌汁の香りで思わず空腹が音を鳴らしそうになる。  どうやら平屋の一軒家。俺が寝ていたのは畳の敷かれた場所で、おそらく居間だろう。どれだけの広さがあるのかは定かではないが、奥には襖で仕切られているがまだ部屋がありそうだ。  とはいえ、無闇に動き回って盗人の類に勘違いされても厄介だ。ここで大人しくしているのが懸命だろう。 「おや、目が覚めたかい?」 「お、本当だ。大丈夫か?」  がらり、と木の引き戸が開けられ、二人の人物が入って来てそう言った。  一人は腰の曲がった老婆に、その後ろには大柄の若い青年だ。この家の住人だろう。 「あぁ、もう大丈夫。世話になったようだ」  そう言って立ち上がろうとしたが、未だ残る側頭部の痛みは俺の身体に充分な自由は与えてくれなかった。それほどまでに強力な一撃だったのだろう。  一体あの少女は……誰なのだろう? 「あの……少し聞きたいことがあるんだが」
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