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その日は朝からやけに外が騒々しく、その大きな物音に、俺は起床を余儀なくされた。カーテンから溢れる朝日が顔全体に降り注ぎ、手元には、ベットの脇に置いてあったはずの目覚まし時計。しかも、しっかりとアラームのスイッチがオフになっていることに気づく。続いてドアを激しくノックする音に、耳を苛まれる。現状を把握するには十分な条件だった。
「まじか!?」
慌ててドアを開けると、そこにはすでに身支度を整えた制服姿の妹が、苦笑いしながら立っていた。
「もう、夜遅くまでスマホいじってるからだよー。」
そんな言葉も耳に入るはずもなく、俺は顔も洗わないまま、キッチンへと続く階段を駆け下りる。
「そうちゃんなの?新学期早々、慌ただしいのね。」
おそらく、洗面所にいる母だろう。洗濯の準備をしていると言ったところだろうか。この状況下で冷静な分析をしている場合でもないが、そんな日常の情景は、自然と頭に浮かんでくるものだ。
「今日は、朝から部員募集頼まれてたんだよ、何で起こしてくれないの。」
その声が聞こえたのか、そうではないのか、母の返事は返ってこない。キッチンに準備されていたトーストをくわえながら、身支度をする。そんな俺を尻目に見ながら、玄関へと向かう妹。リビングには、誰もいないにも関わらず、テレビがつけたままにされていた。 いつもの朝のニュース番組か。特に興味もないが、BGM代わりにはなるものだ。危険ドラッグ服用での死傷事故が取り上げられていた。
「またか、最近こんなのばっかだ。」
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