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「棗、講堂いこうぜ。」
美女が消えた後を見つめていると、友達の宮前遥人が俺を呼びにきた。
「どしたの?なんかあったの?」
いまだ放心のままの俺に、ハルちゃんが不思議そうに尋ねてくる。
「ハルちゃん……『一目惚れ』ってホントに経験する事、あるんだね。」
「へ?お前…。」
「今すっっごい綺麗なお姉さんを見た!!」
今見た感動が興奮となってよみがえってくる。
「うぉっ?!な、棗??」
「あんなに綺麗な人見たことない!
俺、俺……!どうしよう~!」
感極まって大声で叫ぶけれど、本日学祭が執り行われる校内では俺がいくら叫んでも気にするやつはいない。
「棗??え?お前誰かに一目惚れしちゃったのか?」
「したした!」
「誰に?」
「……さっき通った人……名前しかわかんない……」
「名前は?」
「真琴って呼ばれてた。ああ、追いかければ良かった……。」
「うちの学生かなぁ。」
「どうだろう、ドレス来てたけど……。」
(俺のバカ!)
追わなかったことを悔やんでいるとハルちゃんが励ましてくれる。
「美人でドレス着てんなら目立つだろうし、ウロウロしてたらまた会えるかもよ?」
「そうかなぁ~。また会いたいな……真琴さん……。」
俺は再び真琴さんに会えるのを夢見た。
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