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檜は目を丸くしてカイを見つめた。
「…カイ。俺より日本語上手くない?」
「茶化すなよ。
先生なんかに手ぇ出したら今よりもっと面倒くさくなる」
忠告のつもりで檜を一瞥し、空になった食器をシンクへと運ぶ。
檜はぼんやりと天井を仰いだ。
「俺はさ、出来るだけ色んな女と遊びたいんだよ」
「…は? なにそのプレイボーイ発言」
「そう?」
「…There's no helping you.(どうしようもない奴だな)」
「 What do you mean?(どういう意味?)」
二人は顔を見合わせて笑った。
「ヒノキは日本に来た途端モテはじめたもんな?」
「そーだよ、やっぱジャパニーズはジャパニーズを好むんだ。イギリス女はてんでダメだ」
自分の言葉に納得し、檜は腕を組みウンウンと頷いた。
「あんた達なにモタモタしてんの、遅刻するわよ…!?」
「…え!?」
丁度玄関から戻った母が檜達を急かした。
時計の針は既に8時25分を回っている。
「やっべぇ…! カイ、走るぞ!!」
「おう!」
制服のブレザーに袖を通し、鞄をひっつかむと、二人は慌てて玄関へと駆け出した。
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