2.興味

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「それじゃあカイ、また後でな~」 「おう」 廊下でカイと別れ、檜は教室に入った。 壁に掛かった時計に目をやると針は8時47分を差していた。 予鈴はさっき鳴ったばかりだ。 檜の通う西陵高校(セイリョウコウコウ)は坂の上に建ち、走ってきたせいか若干息があがっている。 ギリギリセーフだな、と思い、日の当たる机上に鞄を下ろす。 「おはよー檜。今日は遅かったね? 寝坊した?」 「ナナ…」 振り返ると奈々が口元に手をやり、クスクスと笑っていた。 「いや、カイと喋ってたら遅くなった」 「そーなんだ?」 言いながら奈々の目がキョロキョロと動く。 周りを気にしているのか、声のトーンを下げ、檜を上目遣いで見つめた。 「…あのさぁ、檜。今日、は…?」 檜は真顔で奈々を見た。 目が合うなりその頬に赤みがさし、奈々は恥ずかしそうに俯いた。 奈々の様子から何を言わんとしているのか察知する。 「…。うん、いいよ?」 少しだけ考えて返事を述べた。 「あ…。じゃあまた帰りにね…?」 言葉と同時に本鈴が鳴る。 奈々は顔を上げ破顔すると、自分の席へと戻って行った。 その背を見送り、檜は短く息を吐いた。
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