2.興味

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カイからの着信だった。 ここに来る前、後で教室に寄るからと言っておいた。 すっかり忘れていた。 「…電話?」 振動音が長い事から、幸子にそう訊ねられた。 檜は首を振りメールだよ、と嘘をつく。 何となく今のこの空気を壊したくなかった。 (カイには悪いけど…) 檜は再び携帯をポケットに戻す。 そして幸子に向き直った。 「先生って。あんまり先生らしくないよね?」 「え?」 幸子は顔を上げ、聞き捨てならないと言いたげに眉をひそめた。 「先生って言うよりもっと、身近に感じる。…若いからかな?」 言いながら口元をほころばせクシャリと笑う。 「…」 幸子は檜の言葉ひとつひとつを噛み砕く様に考えてから、困った風に首を傾げた。 「それとえくぼ。…俺は良いと思うよ?」 可愛くて…。 続けてそう言おうとしたけれど、止めておいた。 先程、男子生徒にした様に、大人な女の、適当な答えが返って来ると思ったからだ。 「…あ。ありがとう」 幸子は恥ずかしそうに俯く。 その表情を見て何だか面はゆく感じられた。 自分は一体何がしたいんだろう、と。 馬鹿馬鹿しくも問い掛けたくなった。
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