2.興味

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「…いたいた、ヒノキ!」 不意に名前を呼ばれた。 声で分かる。 カイだ。 校舎から渡り廊下に出る扉を開け、カイが顔を覗かせた。 彼は檜と話をしている幸子に、サッと視線を移す。 おう、と手を上げ悪びれもなく笑う檜を見て、ハァ、とため息をついた。 「全然来ないから…」 「悪い悪い」 近付いて来るカイの姿を見つめ、幸子は「あ」と目を見開いた。 若干、驚いた顔をしている。 無理もない。 サラサラの前髪から主張する青の瞳は、外国人そのものだ。 檜の母親の妹、彼にとっては伯母にあたるその人がカイの母親だ。 つまりは母親がハーフで、父親がイギリス人。 カイは檜と違ってずっと英国の血が濃い。 幸子と目が合い、カイはぺこりと会釈する。 ハッとして幸子も会釈を返した。 「それじゃあ先生、またね?」 笑って言うと、檜は彼女に背を向けようとした。 秋月くん、と声が追い掛けてくる。 「英語。期待してるからね? 頑張って…?」 社交辞令の口振りで言うと、幸子はクルリと背を向け、檜と反対方向へ歩き出した。 その後ろ姿を見て思う。 やっぱり先生なんだな、と。 そして、年上なのだ。 歩き出すカイに続き、檜は教室へと戻った。
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