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近所のコンビニから戻ったカイに飲み物を貰い、それぞれ床やアンプの上に腰を下ろす。
「なぁ、さっきからヒノは何を一生懸命見てるん?」
ジュース片手に雑誌のページを捲る檜に、陽介が声を掛けた。
飲み終わった缶を脇に置き、そのまま隣に座る。
「…これさ、この中に載ってる新しいエレキ欲しいなと思って」
「え、今のやつもうあかんくなったん?」
「いや、そうじゃないけど…性能良くてデザインカッコいいのが欲しいじゃん、やっぱ」
「ふ~ん…」
言いながら尚も雑誌とにらめっこをする。
檜たちの組むバンド、‘FAVORITE’は4人で結成している。
ボーカル兼ギターの檜、サブボーカル兼ギター兼キーボードのカイ、ベースの陽介、ドラムの陸。
キーボードが入る曲になるとカイがそれを弾き、ギターは檜の担当になる。
センターで目立つ事を気にして、檜は新しいギターを買い換えたいと思っていた。
「ちなみに檜が欲しいのはいくらすんの?」
向かいに座っていた陸がヒョイと雑誌を覗き込む。
檜がお目当ての楽器を指差すと陸はえ、と顔をしかめた。
「11万8千…! たっか…っ!! テレビ買えんじゃん?」
「うん…今度売り出す限定モデルだからどうしてもな~」
数量50台という見出しに頭を抱える檜を見て、陽介が言う。
「こういうのはピンきりやから上見りゃキリないで?」
「うーん…」
雑誌から顔を上げ、思わずため息がもれた。
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