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「3組の秋月くん、でしょ? 秋月カイくん」
「そうそう」
檜も幸子を見つめ顔をほころばせる。
「カイとはいとこなんだ」
「え? いとこ…??」
「そっ、母さんの妹の子供だから」
幸子は‘そういう事じゃなくて’と言いたげに目をしばたたせた。
「その…、言い方が失礼だったらごめんなさい。あの、カイくんって外国人、…よね?」
「え…?」
檜の反応を見て幸子は言い繕う。
「え、あ。ごめんなさい…目が青いし…顔の造りが日本人ばなれしてるから…そうなのかなって…、思って」
言いながら、語尾がだんだん小さくなる。
「…ああ、カイはハーフなんだ。
つっても通常よりは向こうの血が濃いけどね?」
「そう…、なの?」
「うん、俺の母さんも伯母さんもハーフだから。言ってみりゃカイは三分のニがイギリスの血なんだ」
え…、と幸子は睫毛を伏せて何かを考える素振りを見せた。
「…じゃあ秋月くんってクォーターなの?」
「え…。あ、そうだけど」
「…あれ、桜庭先生?」
不意に離れた場所から名前を呼ばれ、幸子はそちらへ目を向けた。
檜も釣られて振り返る。
「…檜?」
「え? なになに、何で檜も一緒なんだ??」
クラスの男子三人が檜達に歩み寄った。
内田、大西、丸橋のグループだ。
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