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奈々は俯いたまま顔を歪め、やがて静かに口を開いた。
「…酷い。付き合ってるのに」
「え??」
「付き合ってるよ?? あたし達!!」
奈々は顔を上げ、真摯に訴えた。
「え…。でも檜は」
「だって、もう何回もそういうコトしてるんだからっ!」
真っ赤な顔で言い放つと、奈々は廊下を駆けた。
あまりの衝撃に内田は顔をしかめ、
「そういうコト…?」
と呟く。
ついひと月半ぐらい前の記憶へさかのぼる。
始業式の日、檜と交わした会話を思い返していた。
‘俺らは単なるオトモダチ…’
「オトモダチって…。そういう意味、か」
グッと拳を握りしめ、言葉だけが宙に消えた。
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