3.物欲

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奈々は俯いたまま顔を歪め、やがて静かに口を開いた。 「…酷い。付き合ってるのに」 「え??」 「付き合ってるよ?? あたし達!!」 奈々は顔を上げ、真摯に訴えた。 「え…。でも檜は」 「だって、もう何回もそういうコトしてるんだからっ!」 真っ赤な顔で言い放つと、奈々は廊下を駆けた。 あまりの衝撃に内田は顔をしかめ、 「そういうコト…?」 と呟く。 ついひと月半ぐらい前の記憶へさかのぼる。 始業式の日、檜と交わした会話を思い返していた。 ‘俺らは単なるオトモダチ…’ 「オトモダチって…。そういう意味、か」 グッと拳を握りしめ、言葉だけが宙に消えた。
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