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「兄貴の骨、欲しいの?」
どうしてわかったのだろう。
言い出そうとしていたことなのに、先に言われてひどく動揺してしまう。
「はいそうですか。って渡せると思う?」
私は無言のまま首を横に振った。
「もう、君に会うつもりはない。これからの君の人生にも興味がないと言っただろ。君が生きていようが死んでしまおうが、どうでもいいんだ。それは俺たちが他人だからだよ。他人に、そんな大事なもの、渡せるわけないだろ」
そう言われるのも当然のことだ。
わかっていたことなのに、悔しくてたまらない。願いを聞き入れられなかったこともそうだ。他人だと言われたこともそうだ。
「じゃあ、お先に」
立ちすくんだままの私を残して、真人さんは店を出ていった。
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