scene 4

2/15
1041人が本棚に入れています
本棚に追加
/512ページ
街を歩きながら、携帯ショップを探した。 本当はどこに捨ててもかまわなかったけれど、思い直してきちんと解約することにした。 これから私は、私の存在を証明するものをひとつずつ消していく。 まるで儀式のように。 真人さんに他人だと言われたときは悔しかったけれど、今はこれで良かったと思えた。かえって、スッキリした。踏ん切りがついた。 店に入ると若い女性スタッフが、笑顔で椅子をすすめてくれた。 解約したいと伝えても表情をかえないのは、マニュアル通りなのだろうか。 あの日から、電源は一度も入れていなかったけれど、充電は無くなっていた。
/512ページ

最初のコメントを投稿しよう!