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タクマが大きな鞄の中から取り出したのは、熊のぬいぐるみだった。
「俺からの出産祝いだ」
そう言って、優人の隣に熊を寝かせた。
「オマエが買ってきたのか?」
「そうだよ」
こんなぬいぐるみを抱えて店内を歩くタクマの姿を想像して、思わず笑ってしまう。
タクマが頬に触れると、優人が目を覚ました。
小さな口を開けて欠伸をする。
「なあ、抱っこしてもいい?」
「仕方ないな」
俺は優人を抱き上げてタクマに渡した。
優人は、愛くるしい目でタクマの顔をじっと見つめている。
タクマの差し出した人差し指を、優人は小さな手で握った。
「こいつ、俺のこと気に入ったな」
「こいつじゃなくて、優人です」と瑞乃が言う。
「誰が考えたんだ?」
「瑞乃と一緒に決めた」
「お前たち見てると、俺もまた結婚したくなってきたな」
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