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また、えらく間を置いてから男は言った。
「――おばさん」
……はあ?
「誰がオバサンよ!! こっちはまだギリ20代よ!!」
「え、ちょ! 君のことじゃないって。しかも、その『オバサン』じゃない!」
頭の中で何度か反芻して、ようやくその言葉の意味に辿り着く。
つまりおばさんと言うのは――、
「え、親戚のおばさん……ってこと? それは、うわぁー……」
ますますキモい、という最後はなんとか飲み込んだ。
だけど引きつった顔は隠せず、「だから話したくなかったんだ」と男は肩を落とした。
「若かったんだよ」
「え、マジ言ってる? まさか手出したの?」
「違うその『若い』じゃなくて、相手が」
どうやら、一般的な『おばさん』と『甥っ子』の関係よりも歳が近いのだと言いたいらしい。
「手ぇ出すとかはないよさすがに。って言うか、そういうこと考えるようになる前に、彼女とは会えなくなった」
話したくないと言ったクセに、男はぽつりぽつりと昔話を始めた。
「君と同じくらいだった、本当に似てる。俺は中学にあがったばっかりで、綺麗なお姉さんって感じだった」
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