19人が本棚に入れています
本棚に追加
「メリークリスマス聖人。クリスマスプレゼントだ」
「ケーキもあるのよ。聖人くん、一緒に杏樹のお祝いしてね?」
「え? 杏樹の誕生日……じゃないよね、こないだやったばっかり」
小さな天使がご機嫌で駆け回っている間に、男同士の秘密を打ち明けるような大袈裟な前振りから、叔父は彼女の出生秘話を少年に教えた。
杏樹はどうやら、誕生日が年に2回あるものだと思い込んでいるようだった。
「ねー、どうしてキヨトにはサンタさんこないの? わるい子したから?」
「え、悪い子? してないよ! うーん……杏樹よりちょっとだけ大人だから、かな」
悲鳴に近い大声を上げて、杏樹がごねだした。
大人になったらサンタクロースが来なくなるなら、大人になんかなりたくない、と言って。
まだサンタの存在を信じる小さな妹に何て言って宥めればいいのか分からず、少年は困っていた。
救いの手を差し伸べたのはやはり、神聖なる女神だ。
母親に抱き上げられると、泣き叫んでいた杏樹はぱたりと泣き止んだ。
最初のコメントを投稿しよう!