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「杏樹ー。サンタさんは世界中の子どもたちのために大忙し。だからサンタさんのプレゼントは、ちっちゃな子だけなのよ」
でもね、と、たっぷりとためて、その後の言葉にまるで魔法をかけたようだった。
泣き虫天使を笑顔にする魔法を。
「その時はきっと、聖人くんが杏樹の特別なサンタさんになってくれるよ」
「ほんと!? キヨト!」
よく意味も分かっていないのだろう。
ぎょっとして目を見開く少年の方を向いた杏樹は、嬉しそうにニコニコと笑っていた。
叔父も愉快そうに声をあげて笑った。
「そりゃあいいな! 杏樹、パパのお嫁さんは無理だけど、聖人のお嫁さんならなれるぞ!」
「えー。あんじゅパパがいい! キヨト、パパみたいにおっきくないもん」
「大丈夫、聖人はこれからもっと大きくなるから。それにパパと同じじいちゃん似だからな、どんどんパパに似てくるぞ」
「え? え? キヨトがパパになるの?」
噛み合わない会話も笑いすぎて目尻に浮かぶ涙も、全て幸せの象徴のようだった。
そこには確かに幸せがあった。
祝福が、愛が、確かにそこにあった。
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