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「聖人、笑うと本当にパパにそっくりね」
「ちょ……大丈夫か杏樹。ちゃんと幸せな恋愛しろよ? もうほいほい知らない男についてくなよ」
「結果知らない男じゃなかったんだから、もういいじゃん。ねえ、従兄妹同士は結婚出来るんだよ聖人」
「おま……、馬鹿か! しねえよ!」
一瞬本気で慌てて、それから聖人は吹き出した。
「考えても見ろよ」と、目尻を拭う。
「新婦の母親と新郎の父親代理が元夫婦!」
その図を想像したのだろう、げらげらとお腹を抱えて笑いだした。
確かにそうだ、あり得ない。
あり得ないし、あってはいけないことだ。
「良く見なよ聖人。ママに似てるでしょ、私。目の前にはベッド。あの時は手も出せなかった神聖な初恋の人――に良く似た、法的にもノープロブレムでフリーの美女。ほら、どうする?」
「セイジンと書いて聖人だぞ、どうもするか馬鹿」
「うわあ。その歳で童貞か」
「ばっ、童貞なわけないだろ!」
「……ママでオナニーしたんだもんねぇ」
「言葉を選べ! あと、何度も言うがそれは断じてしてない!!」
「ママよりは杏樹の方が、世論的にも健全かと思いますよー」
「あのな……そういうの何ていうか知ってる?」
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