1人が本棚に入れています
本棚に追加
「しょうがないじゃない。
人手不足なのよ、
この業界も」
朝食の目玉焼きを作りながら、
ヨメは言った。
「あたしだってほんとは、
世代交代するべきだって思ってるもん。
でも、
後継者がいないのよ。
ほら、
近頃の子ってドライだから。
なんか得することがないと動いてくれないの。
あ、
はい、
お醤油」
「ん、
サンキュ」
「あなた、
昔から目玉焼きにはお醤油派だもんね」
新築マンションの明るいダイニングキッチン、
ヨメと差し向かいで食べる新婚さんの朝ご飯。
結婚当初は目玉焼きが炭化していたり、
味噌汁にピーマンが浮かんでいたり――しかもピーマンとしし唐を間違えていた――と、
すさまじい破壊力だったヨメの手料理も、
このところずいぶんと進歩してきた。
最初のコメントを投稿しよう!