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土曜日の午前九時前。俺は待ち合わせとして指定された時計台に立っている。
買い物か……。そういや、仲の良い連中は沢山いるけど、こうして誰かと出掛けるのは兄貴を除いて初めてかもしんね。
「お、時間通りに来たな」
「そりゃ、時間通りに来なかったらモブにヤられてる絵を送るからなって、ご丁寧にも下書きのラフ絵を画像で送られてきたら嫌でも時間通り……に……」
律儀にも九時にきっかりと来た九條に俺はやや苦笑いを浮かべながら顔を上げると、俺の目の前に、九條ではない誰かが立っていた。
綺麗に切り添えらせた前髪に、肩よりやや下に垂れ下がるツインテールの黒髪。
白い肌に映えるように頬はほんのりと赤く、薄い唇はテカテカと光るラメが入ったピンクの口紅が塗られている。
丈の短い水色のワンピースを着ており、その上に白のケープのポンチョを羽織っている。
頭の上にも同じくもこもことした白い帽子を被っている。
何処からどう見ても女だ。それも飛びっきりの美少女だ。
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