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出会って十五年。
コートを貸すようになって十年。
口説き初めて五年。
嫌われては……いないと思う。
毎年同じように、雪音さんは来てくれるから。
僕の言葉に、いつも嬉しそうに微笑み返してくれるから。
「……よし。
来年は『君の所へ行ってもいいかな?』にしよう。
きっと雪音さんは、一年中雪が降りしきっている北の方の高山のてっぺんにしか、常駐できないんだろうし。
雪音さんの家がある場所なら、一年中雪が降っていても誰にも迷惑かからないだろうし。
きっと雪音さんも、今度は『はい』って言ってくれる……、と、いいなぁ……」
体はしんしんと冷えていくのに、胸はドキドキせわしなく脈打っている。
このドキドキが、来年こそは雪音さんに伝わるといいのだけれど。
そんなことを思いながら、僕は雪の降りしきる空を眺めた。
《 END 》
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