どん底

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会長はそのまま俺を会長の部屋に連れ帰った。 途中で、俺は自分の部屋に帰ると会長に伝えたら、黙れ、と低い声で一蹴された。 会長の部屋に入った瞬間、会長に乱暴に体を壁に押しつけられる。 会長は胸ぐらを掴む。 さっきまでの優しい目線とは打って変わって、軽蔑した目で俺を睨んでいる。 「さっきの発言は不快だった。お前、杏樹になりきろうとしてないだろ?これから俺といる時は、言動全て杏樹に似せるようにしろ。杏樹になりきれ。」 やだ。そんなのやりたくない。杏樹になんてなりたくない。 なんで、杏樹なんだ。なんで、俺自身がこんなに否定されるんだ。 レイプの後遺症か、自分より大きい男を見るととてつもない恐怖を感じる。でも、そんな恐怖心を抑えて、反抗的な目で会長を睨む。 ガンッと顔のすぐ横の壁を殴りつけられる。 「生意気な顔してんじゃねえぞ。まあ、さっきの写真をばら撒かれてもいいってんならいいけどな。 まあ、ビッチなおまえはばら撒かれるのもご褒美か?」 はっ、俺を嘲笑いながら会長は1人で部屋の奥へ歩いていく。 そうだ。俺には選択権がないんだ。 俺はこれから…俺の人格を否定されながら、杏樹のふりをしなくちゃいけないんだ。 俺は、自分を殺して、杏樹にならないといけないんだ…。 写真をばら撒かれないために、フラフラと会長を追いかけた。
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