体育祭

9/23
前へ
/135ページ
次へ
「なんで殴られたかわかんないって顔してんな。教えてやるよ。お前、風紀からなんもお咎めなかったらしいな?杏樹様を苦しめたくせに。風紀委員を色仕掛けで落としたのか?まあ、いいや。だからぁ、杏樹様をいじめた罰を俺らが下してやろうと思ってさぁ。」 違う、違うのに。何もかも。 俺だけの中傷ならわかる。 でも、俺を少しでも信じてくれた風紀まで悪くいうのか。 風紀だってそんな色仕掛けとかで罰を左右する奴らじゃない! そう叫びたいのに、口から出てくるのは痛みに呻くくぐもった声だけだった。 そこからは、暴力と暴言の嵐だった。 複数人だったらしい彼らは俺をゴミのように殴っては蹴る 殴られて、蹴られて。 杏樹様をいじめるな 調子乗んなよ なんで生きてんだよ お前なんか死んだ方が世のためだろ 風紀までたぶらかしやがって 暴力と暴言が一度に。滝のように叩きつけられる。 どんなにその暴言を否定しようとしても、俺の言葉が彼らに届くことはない。 いつもどんな時だって、俺の言葉は誰にも届かない。 痛い。怖い。許してよ、お母さん。 遠い、遠い、昔の記憶が呼び起こされる。 なんで、俺は生きてるんだろう。 なんで俺はまだ生きてるんだろう。 やっぱ、死ぬべきなのかな。 だから、病気になったのかな。 俺は、生まれた時点からこの世界にとっていらなかったから。 みんなにとって邪魔もので厄介者で。 神様さえも俺を排除しようとしているのかもしれない。 だから、こんな目に、こんな人生を送ってきたのかもしれない。 それなら、俺は死ぬべきなのかもしれない。 闇が俺を飲み込んでいく。 「おいっこれやばくね?死んだんじゃ…」 騒然とする周りもどんどん遠くなっていって。 完全に闇に飲み込まれた。 もう、戻りたくないなぁ。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5455人が本棚に入れています
本棚に追加