体育祭

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「ああ、そうだ。佐久良。メシ食べに行くぞ。」 「へ?」 そう言って、シロは俺の腕を掴んでズンズンと教室の外に連れて行く。 「ちょ、ちょっと待てって。どこに行くのさ。」 「だから、メシだ。」 ええーー?? そのまま連れてこられたのは、体育館裏。 わあお。ご飯食べに体育館裏きたの?本当に?え?これ俺殴られんの?やっぱシロ呼びはやりすぎた?? 「これ」 「ん?」 ずいっと俺の前に差し出されたのは一つの風呂敷に包まれた何か。 「だーかーら、これやる。メシだメシ。」 「え?あ・・・ありがとう?」 おずおずと差し出した俺の手の上にポンっと置かれる。 ちょっと頭が追いつかない。なんで、シロが俺のお弁当を持ってくるの? なんて、お弁当を受け取ったままフリーズしてると、 「何してんだ?早く食べろよ。」 なんて、シロが急かしてくる。 ん、考えてもよくわかんないし、とりあえず食べますか。 「ん、じゃあ、いただきます」 蓋を開けると、色とりどりの野菜に、少量のご飯、あとウインナーと卵焼きといった典型的なお弁当の具材が入っている。 「味はどうだ?」 一口目を食べたら、シロが聞いてくる。 「ん!すごい美味しい!!久しぶりに手作りのご飯食べたなぁ。やっぱ美味しいもんだね!」 俺の返答を聞いたシロはそうか。と呟いてまた黙々とご飯を食べ始めた。 もしかして・・・。 「これ、シロの手作り・・・?」 そう聞くと、シロが耳を真っ赤にする。 「この可愛いタコさんウインナーとかも全部??」 するといきなり、こっちに顔を向けて 「なんか、悪りぃか!?・・・くそっ。別に俺のガラじゃねぇことぐらいわかってるっての。俺の手作りなんか食いたくねぇってなら食べんな!」 そういって俺からお弁当をひったくろうとする。 とっさにそれを避けて 「ううん。食べたいよ。ありがとう、俺に作ってきてくれて。」 シロが料理を作れるのは意外だったけど、シロの料理は美味しい。それに、俺のために時間を割いてお弁当を作ってきてくれたのはすっごい嬉しかった。 だから、シロに心から感謝を伝えたら、目を丸くしたあとそっぽ向いてしまった。 「そんな嬉しそうに笑うんじゃねぇよ。」 なんて耳を真っ赤にしながら呟いたシロの言葉は、お弁当に夢中の俺の耳には届かなかった。
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