体育祭

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ついに体育祭当日。 午前に俺はまず借り物競走がある。割とこれも憂鬱な競技だ・・・。 朝、まだ眠い中、集合場所にいると突然シロに腕を引かれた。 「ん?シロどぉしたの?」 ん、とシロから差し出されたのは水筒。 「お前どうせ持ってきたないんだろうから。こまめに水分補給しろよ。」 ぶっきらぼうにそういって、ズカズカと離れて行く。 ありがとーっと離れて行く背中に声をかけて少し飲んでみる。 ちょうどいい加減の甘じょっぱい味がする。 こういうシロのマメなとこ好きだなぁ。なんて思いながら水筒を眺めてると、ポンと頭の上に手を置かれる。 「あれ?いいんちょー、おはよー、てか、せっかく体育祭仕様に気合入れてセットした髪の毛に手を置かないでよー!」 「ああ、おはよう。お前の頭が手を置きやすい位置にあるのが悪い。まあ、今日は頑張れよ」 そう言いながら俺の頭をわしわしかき回す。 ちくしょう、背が高いからって!!俺だって別に背が低いわけじゃないし? 「ちょっと!!言ったそばから、またセットくずれたじゃんかー、まあいいよー、この分の落とし前はご褒美の時に返してもらうからね、委員長も約束忘れないでね〜。」 結構、楽しみにしてるんだから。だって、外に友達って言っていいのかわからないけど、学園の人と遊びに行くのってほとんどしたことないし。 もう、生徒会の人たちとは一緒には行けないだろうし・・・。 あと何回こういうことができるかも俺はわからないからね。 まあ、あとは遊園地も初めて行くしね! そうだよ、今日は湿っぽいのはやめよう。せっかくの体育祭だしね。 「ああ、そうだな。約束は忘れてはないが、まずは真面目に体育祭参加しろよ?」 眉をあげながら、疑うようにこちらを横目で見てくる。 「ええーー、いつも俺は真面目ですぅ」 ぶー、とふてくされたように唇を突き出して答える。 「だといいんだがな」 じゃあ、と手をあげて、また仕事に戻っていく委員長。 忙しそうだなぁ、と俺はぼんやりとその背中を見送った。 最近、周りの状況が改善してきたから、平和ボケしすぎていたのだろうか。 こんなくだらない委員長とのやりとりを憎々し気に見てる生徒がいたなんて俺は全く気がつかなかった・・・。
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