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「次は、借り物競走です。出場する生徒は入場門までお集まりください。」
はい、きました。地味に嫌な借り物競走ぅ。
出場者の列に並んでいると、爽やかくんが隣にやってきた。
これは、話しかけるべきなのか・・・?
「あれぇ?仲馬くんじゃーん、仲馬くんも借り物だったんだぁ」
「・・・別にやりたくてやってるんじゃないよ。単にくじで負けたんだ。ていうか、あんたも途中でギブするのだけはやめてくれよ。俺はこの体育祭で優勝したいんだから。」
あー、はいはい。この借り物の厄介なルール、途中でお題を達成できなくてギブしたら点をマイナスされるやつね。
ほんと、爽やかくんはマリモのために必死だね。
ていうか、こいつほんと爽やかじゃないよね、エセ爽やかめ。
「それは、こっちのセリフだよー、仲馬くんもー、足引っ張らないように頑張ってねぇ?」
それを聞いた爽やかくんはチッと舌打ちをしてこちらに背を向けた。
俺は第3走者で爽やかくんくんは第8走者らしい。
第1走者、第2走者と駆け出していく。
ちなみに、借り物競走は全体で20分の尺を持っている。その中でゴールできればいいシステムなのだ。
第1走者がお題の紙をみんなが拾った時点で第二走者がスタートする。
つまり、第1走者が圧倒的に有利なわけだが、まあ何せ一筋縄では行かないお題が多い。
「誰かパンダを連れてきている人はいらっしゃいませんかー!!」
ほら、こんな感じで。
「第3走者、用意、スタート!!」
お題の紙までは急いでも仕方がない。チンタラ向かって紙を拾い上げる。
"ドレス"
それだけがそこに書いてあった…。
ドレスかぁ。まあまだマシなお題でよかった。にしても、ドレスなんてどこに…。
あ、文化祭でよく女装してる人いるからなー備品にあったりしないかな。
よし、れいちゃんに聞いてみよっと。
喫煙所でタバコを吸っている玲ちゃんを見つける。
「れいちゃーん、ドレスってこの学校にない??」
「うぉ、佐久良なんでここにいんだ」
「借り物競走だよー、玲ちゃん休憩中でしょー?ドレスの場所教えてー!過去の文化祭の備品あるとことかでもいいからさー」
「あーー、それなら第3倉庫に文化祭の備品はあるんじゃねえか?ドレスはあるか知らねえけど…。」
かちゃかちゃっと腰にある鍵束をなげてくる。
「ほらよ、この鍵で開けろよ」
「わー!玲ちゃんありがとー!大好きー!」
鍵を受け取って駆け出す俺。
割と順調にきてるし、ここまできたら一位をとるっきゃない!
そう意気込んでた俺は、後ろで「不意打ちこえー、大好きなんて安売りしてんじゃねーよ」と顔を真っ赤にしながら呟く玲ちゃんには気がつかなかった。
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久しぶりに玲ちゃん=生徒会顧問兼元担任登場。
仲間くんではなく仲馬くんでした。指摘ありがとうございました。
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