どん底

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恐怖で怯える俺をじっと見た後、会長は悪そうな顔でニヤァっと笑った。 「おまえ、その表情はなんかいいな。いつものヘラヘラした表情よりずっといい。しかも、お前…」 ぐいっとより顔を近づけられる。 「こうみると少し杏樹に似てるじゃねえか。」 1番言われたくない言葉を言われて腹の底がカッと熱くなる。 最悪だ、あいつに似てると言われるなんて。 でも、会長への恐怖で俺の体は縫いとめられたように動かない。怒れもしない。 おそらく会長は気づいている。俺が恐怖で動けなくなってることを。でも、わざと気づかないふりをして、話を続けてるんだ。 「そうだなぁ。はっ、そうだ。いい案を思いついた。お前、この写真は俺様が預かる。ばら撒かれたくはないだろう?なら、お前…」 ああ、とてつもなく嫌な予感がする。 「杏樹の代わりになれ。」 最悪だ。ほんとに。
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