コスメティック・ラブ

第1章 新人はタイヘンです

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札幌駅前通り沿いのデパート
『今越』は朝10時に開店する。

美容部員の仕事は、そんな開店時間の一時間前からスタートする。

一時間前といっても、新人ならばその十分前に売り場に着いてなければならない。

万が一先輩より遅く売り場に入ってしまったら、それは厳しい嫌味を浴びせられてしまうから―――

分かっているのに……！

「お、おはようございます！」

「小泉、ギリギリだね」

駆け足で売り場に入ると、既に開店準備に取り掛かっていた先輩美容部員に『おはよう』よりも先にそう言われてしまった。