64人が本棚に入れています
本棚に追加
雨脚が強まり、雷鳴が轟いていた。
休憩を取った時に確認した携帯には龍二からのメールがあった。
【今日か明日は予定ある?】
【今日だったら何時?】
【終業後なら何時でも。】
【じゃあ、5時半は?】
【オッケー。また連絡する。】
3度目の正直だった。
3度目にしてようやく会える。
環の心は踊っていた。
人が見ると、互いに素っ気ないやりとり。
だが、環にとっては幸せだと感じられた。
休憩を終え受付に戻ると、午前と変わらず閑散としていた。
「環さん、機嫌がよろしいじゃないですか?何か良いことでも?」
小さな声で、笑顔と前方への目線はキープしたまま、弥生は言う。
亜美は交代で休憩に入った。
「いえ、特には何もございません。データ整理が存外早く終わりましたので。」
弥生は周りを見渡すと、ニヤリと笑った。
「いーや、幸せ感が伝わってくるよ?彼氏と上手くいってんだ?何?結婚秒読み?」
「いいえ、違います。」
仕事の姿勢を崩さない環に弥生も今度取り調べを行うからとだけ言って、無駄口をやめた。
最初のコメントを投稿しよう!