Olimpic

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午後5時ぴったりに仕事を終え、環は私服へと着替える。 挨拶を終え、自分の車へと向かった。 緩みそうになる頬に力を込めた。 浮足立つってこういうことなのかな? カーステレオの中に入った曲を口ずさむ。 以前、この曲に合わせてふざけてキスをした。 何度も何度も。 歯並びが少し悪くて、たまに髭が生えかけている。 瞳は二重のアーモンド型。 薄い眉と耳。 少し太めの鼻梁。 いつも笑顔の龍二を頭の中でパーフェクトに環は描けるようになっていた。 人の顔を憶えるのが苦手な環は、仲の良い友人ですら、細かくは憶えていない。 歌いながらドライブをし、彼からの連絡を待つ。 5時20分を過ぎた頃、ようやく龍二から連絡があった。 【電話大丈夫?】 【うん。】 路肩に停車し、彼からの電話を待った。
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