Afinity

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「ごめん、ギリギリになっちゃって。」 駅前のロータリーに車を寄せる。 いつもはボーイッシュな格好が多い結衣も、今日はきちんと女の子らしい格好だった。 白いシャツにベージュのフレアスカートに、華奢なブレスレットを着けている。 ショートカットの髪を揺らし、車に乗り込んできた彼女からはふわっとシャボンの匂いがした。 8時に店には予約を入れている。 環が車の時計を見ると、7時45分を指していた。 もっと早く上がれる予定だったが、残務処理をしていて、慌てて化粧直しを軽くするとこの時間になってしまった。 「お疲れー。忙しかったの?」 「うん、ちょっとね。 とりあえず、急ごうか。」 予約したダイニングレストラン近くのパーキングに停めると、ふたりで歩きだした。 「どんな人なのー?楽しみ。」 歩きながら、結衣が訊いてくる。 人懐こく、誰からも愛されるキャラは少しだけ、亜美にも似ていた。
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