66人が本棚に入れています
本棚に追加
/389ページ
「ごめん、ギリギリになっちゃって。」
駅前のロータリーに車を寄せる。
いつもはボーイッシュな格好が多い結衣も、今日はきちんと女の子らしい格好だった。
白いシャツにベージュのフレアスカートに、華奢なブレスレットを着けている。
ショートカットの髪を揺らし、車に乗り込んできた彼女からはふわっとシャボンの匂いがした。
8時に店には予約を入れている。
環が車の時計を見ると、7時45分を指していた。
もっと早く上がれる予定だったが、残務処理をしていて、慌てて化粧直しを軽くするとこの時間になってしまった。
「お疲れー。忙しかったの?」
「うん、ちょっとね。
とりあえず、急ごうか。」
予約したダイニングレストラン近くのパーキングに停めると、ふたりで歩きだした。
「どんな人なのー?楽しみ。」
歩きながら、結衣が訊いてくる。
人懐こく、誰からも愛されるキャラは少しだけ、亜美にも似ていた。
最初のコメントを投稿しよう!