Cacao Fiz

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地下一階、地上三階からなる会社は、社の精鋭でデザイン、建築された。 おかげで築10年経っても色褪せない。 地下には資材や工具類、作業車などが整然と置かれ、直接外から入れるようにももちろんなっていた。 一階はエントランスロビー、会議室、不動産部、総務部が置かれていた。 外部の人間の出入りがあるため、一階は特に見た目重視であった。 エントランスロビーの窓からは地元の山が悠然と見え、季節に応じて表情を変えてくれる。 今の季節ならヤマツツジが緑に混ざり、ポツポツとピンクと白色の花を咲かす。 夏には眩しいぐらいの若々しい新緑、秋には色付く葉、冬には雪で白く積もり、それは借景の理。 エントランスロビーはけっして、広くもなければ、豪華でもない。 程よい広さにテーブルセットがみっつあるだけ。 でも、ここに来る人たちは心を落ち着かせる。 環もまた、受付から見える景色が大好きだった。 弥生と亜美にも顔色のことは訊かれたが、大丈夫だと言い張った。
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