Angel Face

32/42
65人が本棚に入れています
本棚に追加
/389ページ
黒い蟻の集団を吐き出す角砂糖の建物から、環は這い出る。 車に戻った環は携帯のマナーモードを解除した。 【今着いて、挨拶と線香今からだから少し待ってて。】 そんなメールが五分前に入っていた。 【わかった。 どっちにしろ、ココでは合流出来ないだろうから、近くのコンビニで待ってるね。終わり次第、電話ちょうだい。】 送信ボタンを押すと、コンビニへと飲み物を買いに行った。 ドリップ式のコーヒーをふたつ購入し、淹れ終わるのを待つ間に環の電話は音楽を奏で始めた。 「もしもし?終わった?」 「ああ。ゴメン、待たせて。 どうしよっか?この前と同じ駐車場で待ち合わせる?」 「いーよ。じゃあ、後で。」 電話を切ると、ふたつのコーヒーがトレイに載せられていた。 それを受け取ると、環は車に乗り込み、前回と同じ駐車場へと向かった。 日はすっかり落ち、道行く車がヘッドライトを点けているのを見て、環もライトを点灯した。 オレンジがかった色や、青白いもの、そして赤のテールランプが流れていた。
/389ページ

最初のコメントを投稿しよう!