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黒い蟻の集団を吐き出す角砂糖の建物から、環は這い出る。
車に戻った環は携帯のマナーモードを解除した。
【今着いて、挨拶と線香今からだから少し待ってて。】
そんなメールが五分前に入っていた。
【わかった。
どっちにしろ、ココでは合流出来ないだろうから、近くのコンビニで待ってるね。終わり次第、電話ちょうだい。】
送信ボタンを押すと、コンビニへと飲み物を買いに行った。
ドリップ式のコーヒーをふたつ購入し、淹れ終わるのを待つ間に環の電話は音楽を奏で始めた。
「もしもし?終わった?」
「ああ。ゴメン、待たせて。
どうしよっか?この前と同じ駐車場で待ち合わせる?」
「いーよ。じゃあ、後で。」
電話を切ると、ふたつのコーヒーがトレイに載せられていた。
それを受け取ると、環は車に乗り込み、前回と同じ駐車場へと向かった。
日はすっかり落ち、道行く車がヘッドライトを点けているのを見て、環もライトを点灯した。
オレンジがかった色や、青白いもの、そして赤のテールランプが流れていた。
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