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ガッ
ガッツ
ガッツ
兄ちゃんが、おでの頭を何度も何度もふむんだな。
頭の骨が、メキメキいうんだな…
あ お蟹ちゃんが、「やめてぇ!」って…お蟹ちゃん!?
よたよた近づいてきたお蟹ちゃんが、兄ちゃんのアキレス腱をハサミで刺したんだな!?
「つっつ!?」
バキン
「ぎゃぁあぁ!!」
兄ちゃんは、アキレス腱に刺さったハサミをへし折ってお蟹ちゃんを草むらになげたんだな!!
「ウホオオオオオオオオオオ!!!」
おでは、兄ちゃんの足から抜け出してお蟹ちゃんの所にいくんだな!
「ウホッ! ウホッ!!」
草むらに落ちてたお蟹ちゃんは、へし折れたハサミをじくじくさせながらちいさな目が力強くおでを見たんだな。
「…違う…あんなのエテ丸さんなんかじゃない…きっと誰かに何かされたのよ…!」
「ウホッ!?」
「あんなに優しいエテ丸さんが…私たちにこんな事する筈ないもの…! それに、エテ丸さんがエテ吉っさんの事嫌いな訳ない…!」
「ウホッ!ウホホホッ!!」
お蟹ちゃん! 喋っちゃダメなんだな!
「エテ吉っさん…エテ丸さんを助けて…そして、おとっつあんと皆の仇を_______」
「ウホッ…? ウホッ!!」
お蟹ちゃんは、ぶくぶく泡を吹いて動かなくなっちゃったんだな…そんな、そんな…どうしてなんだな!
おでは、お蟹ちゃんの泡を指でぬぐって柿の木の下からこっちを見てる兄ちゃんを睨んだんだな!
「ウフォォォォォォォォォォ!!!!」
許さない! 許さない!
おでは、草むらを一気に駆け抜けて兄ちゃんに全力の拳をおみまいしたんだ_____ガッ!
「ウフォ!?」
兄ちゃんの小さな手が、おでの全力の拳を簡単に受け止めたんだな!?
「おお、これがお前の『怒』か…これはいい…鬼姫様にやっと献上できるんだな」
ウホッ? なんの話なんだな!?
「!?」
兄ちゃんがにぃーと唇を引いて笑うと、唇の間から鋭い牙がにゅっと出てきたんだな!
なっ…猿にも牙はあるんだな! でもあんなに鋭くて長いのは違うんだな!!
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