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ぶりっ! ベシャ!
ぶりぶり!
「くっ、こりゃたまらん! 増援だ! 番屋に戻って_____あべし!」
「へい! 急ぎやしょう! 旦那っ気を確かに! 洗えばきっと大丈夫でやんすよ!!」
お役人は、逃げていったんだな…危なかった…もう出なかったんだな…。
おでは、エテ吉っていうんだな!
この山で兄ちゃんと群れのみんなと暮らしてるんだな!
今日は、兄ちゃんのかわりに沢に住んでる蟹さんのそだててる柿を分けてもらいにいってその帰りだったんだけどなぁ…。
「ウホッ…」
いきなり、お役人さんに追いかけられて折角の柿がばらばらになっちゃったんだな…。
初めてのおつかいだったんだな…兄ちゃんに頼まれて『できる!』って言っちゃったんだな…。
おでは、地面に落とした柿の汚れを払って袋に入れて群れに帰るため森に入ったんだな。
さわ
さわ
森の木達が風にゆれて、太陽がきらきらで日向ぼっこした兄ちゃんの毛皮の匂いみたいに安心するんだな…
ウホッ! いつものとおり、森の中は気持ちがいいんだな♪
「ウホッ♪ ウホホッ♪」
おでは、るんるんスキップするんだな、みんなこの柿をみたら喜ぶんだな♪
今年は、蟹さんにもおで達のとった栗をたくさん持っていけたし今年はたくさん柿が取れたからっていっぱいもらえたんだな♪
…ソレにしても、さっきのお役人さん達は怖かったんだな! いきなりあんな…あんな……また「化け物」って言われたんだな…思いだしたら泣けてきたんだな…
ウホッ!
おでは、ぶんぶん頭を振るんだな!
おで、もう大きいんだな! 兄ちゃんに見られちゃったらまた『泣き虫小僧』っていわれちゃうんだな!
「ウホホホホホホホ!」
ぽっポコポコポコポココポコポコポコ!
悲しいときや、苦しいとき、『怒』なときは思いきり胸を叩くのが一番なんだな!
うん、もう涙お終いなんだな!
…早く帰って、兄ちゃんに一人でお使いできたって言って褒めてもらうんだな! そうすればあんなのもう怖くないんだな!
「…ぐすっ」
おでは、垂れてきた鼻水を指でふくんだ______
ウボッ!?
さっきの拭き忘れたんだな! 指が激くさなんだなぁぁぁ!!
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