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「知らないと思ってるッキキ? お前が、柿が熟してなのが気に入らないからってお蟹ちゃんに青柿をぶつけて甲羅に傷をつけたのをウキッツ!」
キキーキキー!!
キキーキキー!!
みんな、口々に「酷い奴だ!」とか、「これでもう柿を分けてもらえない!」とかいってまた石をいっぱい投げてくるんだなっ!
違うんだな! おでじゃないんだなっつ!!
ここに下りてきて、袋の柿を見てほしいんだなっ! みんな熟して青柿なんて一つもないしお蟹ちゃんも怪我なんてしてないんだなっ!
「騙されないキキッ! 近づいたらその大きな手でオラ達の頭をグジュって潰すキキッ!」
「そうだそうだウッキ! きっとその大きな足で背骨を砕くかもしれないウキッツ!!」
「いやいや、このままにしておいたら悪事を隠すため群れの猿を皆殺しにするかもしれないムッツキー!!」
「ウホッ…ウホッ、ウホホホホホッツ!」
そんな…おで、仲間に…同じ『猿』にそんな事しないんだな!
「猿!? お前の何処がオラ達の仲間なんだっキキッ!!!」
「そーだ! そーだ! オラ達に比べてお前ははるかに大きいウキッ!」
「黒灰色の毛皮、大きな手、大きな足! 何を考えているかわからん目キキッ!」
「鳴き声も違うぞ! ムキッツ!」
「糞の匂いも臭すぎるウキキッ!!」
みんなみんな、そう言いながら石を投げてくるんだな…。
そうなんだな、おではみんなと違う…。
おでは、みんなよりずっとずっと大きいんだな。
ウ●コも臭いし、力もつよいんだな。
だから、兄ちゃん以外群れの皆は怖がって誰れもおでと口をきいてくれなくて群れに何か悪い事がおこると真っ先におでの所為になるんだな…。
ガッ
「ウボッ!」
額に石が当って血が出たんだな…袋に当ると中の柿に傷が付くから避けられないんだな…痛いんだな…。
でも、そんなのどうでも良いくらいに『奥』がもっと、もっといたいんだな…。
「皆のものやめぇい!」
みんなのいる岩のところよりもずっと高いところから皺枯れた声がして、雨みたいに降ってた石がぴたっと止まったんだな。
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