桃太郎Bチーム『猿編』なんだなぁ!

8/22
前へ
/23ページ
次へ
 ズザザザ…  「ぐっ…くっ!!」  おお! すごいんだな!   変態さん、おでの全力の蹴りに耐えたんだな! 本当に強いんだな、変態にしとくのは勿体無いないんだな!    「わんわんわん!」  犬が心配そうに駆け寄っていって来ようとするのを変態さんは、『待て』をかけて制止するんだな…なんかカッコいい…おでの兄ちゃんみたいなんだな。     でも…もう変態さんに関わってる場合じゃないんだな。    「あ! 何処へ行く!?」    おでは、変態さんに背を向けて全速力で駆け出したんだな!  なにか…何かがおかしいんだな!    お蟹ちゃん…  おでは、登ってきた崖を飛びおりて、いつもの獣道を駆け抜けて、とにかく沢に住んでる蟹さんのところに走るんだな!      「……ウホッ…?」  走って、走って、やっとの思いで沢についたおでが見たのは、あまりに酷い光景だったんだな…。  まだ青い柿すら取り尽された丸裸の柿木。  その周りに横たわる、甲羅の潰れた蟹さんたち…  「え て きち…」  ボロボロの柿木の下、ひときわ大きな蟹が折れたハサミをぷるぷるてるんだな! 『蟹さん』ココの『長』なんだな!!  「ウホッツ!! ウホオオオ!!」  蟹さん!! 蟹さぁん!!  酷い! 酷いんだな…甲羅が割れてミソ出てるんだな…!  「えて きち…」  「ウホッ! ウホホホ!」  「聞くのだ この沢を襲ったのは _______だ…がっ、奴等の本当の狙い は____ブクブク」  あああ! 蟹さん! もう喋っちゃダメなんだな! 泡がぶくぶくなんだな!!    「 も 時間が えて お蟹を______」 ぷるぷるしてたハサミが、力なく地面におちたんだな…だめ! だめ、なんだな!  「ウホオオオオオオオオオオオオオオ!!!」  蟹さん! 蟹さん!  蟹さんは良い蟹だったんだな!     群れの皆から『化け物』って呼ばれてたおでの事『蟹にとっては大きくても小さくても猿は猿だ』って、いってよくしてくれたんだな!  誰が、誰がこんな事したんだな!  許せない! 許せないんだなぁあああああああああああ!!    「エテ吉」    大声で泣いてたら、後ろの方から名前を呼ばれたんだな。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加