第1章

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部屋の中心にいたのは、うんざりする程に見知った自分の彼氏……ではなく、驚いたようにこちらを顧みる一人の見知らぬ女性。 長いウェーブ掛かった艶やかなブロンドの髪。 綺麗に揃えられた前髪の下から覗く、ぱっちり二重の魅惑的な瞳が、一直線に私を捉える。 一枚で十分様になる上品な色使いのベロアワンピースが、とてもよく似合っていて……。 一瞬どころか数秒見とれてしまってから、ハッとして。 慌てて頭を下げた。 「ご、ごめんなさい!部屋間違えました!!」 すごすごと彼女に背を向け、元来た廊下を戻っていく。 ……やばい、私。 働きすぎで、とうとうボケてきちゃったんだ。 くらくらする頭を押さえながら、今脱いだばかりのブーツに再度足を通し、重たい玄関戸を押し開ける。 再び野外に追いやられた体で振り返り、もう一度壁面に貼り付けられたその部屋ナンバーを確認してから……。 また違う意味で、固まった。 そこに表記された三桁の数字は、紛れもなく自身の家のもので。 ……やっぱり間違いなんかじゃない。 ここ、私の家だ。 っていうかさ。 私さっき、自分で鍵開けてたよね? そうとわかった途端に、今度はサーっと青ざめていく。 っ、じゃあ……今の人、誰っ!? まさかあいつが、とうとう女まで作って私の家に連れ込んだか!? その可能性が色濃くなった瞬間、今までの疲労は一気に吹っ飛び、怒りで脳内が充満していった。
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