第1章

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「……ユウくん、何なの?これ。」 いまだに帰宅時の状態のまま、リビング入口付近に棒立ちの私。 そしてその正面に、無事にワンピースを脱ぎ終えたものの、完全にご機嫌斜めな様子で胡座をかく私の彼氏のユウくん。 「なにって、何が?」 私の質問に、ふいっとすっとぼけて明後日の方向を見るユウくんに、唇の端が引き攣る。 「っ、はぁ!?言わなくてもわかるでしょ?このカツラなに!?んで、このワンピース……」 そこまで尋問して改めて問題の洋服を注視したところで、気づく事実。 ……あれ?このワンピース…… 「!! ちょっとこれ!!私が先週のプレセールで吟味に吟味を重ねてなけなしの金で一枚だけ購入した戦利品じゃないの!?」 キーンと室内に木霊する私の高音に、わざとらしく手のひらで両耳を塞ぐ馬鹿彼氏。 煩いと言いたげに顔面を歪めた後、ぶつぶつと言い訳を始めた。 「……別にいいだろ。服のひとつやふたつ。減るもんじゃねーし。」 「減る減らないの問題じゃなくて!!私が聞きたいのは、何でこれをユウくんが着てたのかって…………?」 よそ行き用に取っておいた一張羅を勝手に着られた憤りと、ユウくんの訳のわからない行動に混乱して。 ふてぶてしい態度の彼氏を険しい顔つきで凝視し続けた結果……。 したくもない新たな発見に、今一度出会ってしまった。
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