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ここまでのあらすじ。ボスは普通にやっても倒せない。
「くそっ、やつを倒す術は……私たちにはないというのか!」
「……いや、一つだけある」
エミリアが敵の攻撃をさばきつつ歯噛みする。そんなエミリアに、俺はゆっくりと答える。
「なんだと!?」
「煌、それは本当なのか!?」
仲間たちが俺に声をかけてくる。それに俺は静かに答える。
「ああ、俺がこいつを使えばいいのさ」
懐から取り出したのは、少し前の大決戦で手に入れた伝説のアイテム的なもの(説明は省略)。それを見た仲間たちの表情が変わる。
「お前、それは……!」
「正気か、煌!」
解説。これを使ったらボスを殺せるが、俺も死ぬ。ちなみに俺にしか使えない。説明は割愛。
「コウ! 貴様……」
「あー、何も言うなエミリア。これしか手段はないんだよ」
「でも、それじゃお前が……」
「大丈夫だ、俺は死なない」
これは事実だ。ただし、俺にとっては、だが。
ボスの猛攻で、仲間たちにも疲労が見えつつある。頃合いか。
「じゃあ、行ってくる」
「コウ!」
悲痛な表情のエミリアに、俺は笑顔を向ける。
「エミリア、お前に会えてよかった。縁があったら、また会おう」
それだけ言い残すと、俺は誰にも追いつけない速度でボスへ突っ込んでいく。エミリアの悲痛な叫びすらも置き去りにして。ボスの眼前、敵が怯んでいる隙にアイテムを発動。そして渾身の必殺技を―――――叩き込む!
『ぐああああ、貴様、貴様あああああ!!』
「うるせえ、さっさと死ね」
崩れ落ちていく肉体。俺は吐き捨てる。
『我は死なぬ! こんなところでは……』
「死ぬんだよ、これはそういう物語だ」
視界が暗くなっていく。
「じゃあな、一人で地獄へ行け。俺は『次』にいく。行きたくもないがな」
その言葉とともに、世界が消失した。
そして、俺は今回も死んだ。くそったれ。
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