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立ち上がってそれからどういう風に動いたのかはよく覚えていない。
だが、自分で確かめなくともわかるのは、俺の中の人間が深い昏睡に堕ちたこと。
最期の人間らしさを、俺は汚い敵の血の中に涙と共に葬ってしまったこと。
もう二度と戻ってはこない人間としての意識の代用品として、
人の形をした化物の意識が柔く浮上して、色濃く、力強く残った。
そんな事を悔やむような考えはもう、俺の中には存在しなかった。
それから撤退命令が出るまで俺は手にしているピストルをしまい、長く確実な殺傷力を持つ銃で、見たものを撃ち続けた。
ただひたすら無感動に、無感情に、無機質に。
この日の俺の成績は、化物にしても珍しいほどのものとなった(とはいえ化物の標準なんぞ知らない)。
それが、俺の化物としての生の始まりだった。
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