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ジュダが想像していた通り、伴侶を求めて一匹狼となり、ディスパーザルにゆく子供も三匹いた。ジュダとレイラ、そして群れに残った子供たちも涙を呑み、旅立つ兄達に未来を託して笑顔で送り出した。
その後、大きなお腹のレイラは巣穴で元気な赤ちゃんを五匹産んだ。赤ちゃんは生後約七十日目で離乳し、八週程で巣穴を離れ、群れと共に生活を送る。
そして今日が丁度八週目だ。元気な幼い子供たちが巣穴から出できた。一番最初に巣穴から飛び出してきたのは、レイラにそっくりな顔立ちのオッドアイの雄だ。毛並みはジュダに似ており、眩しいくらいに輝く銀色の毛を持つ小さな“イケメン君”はシルバーと名付けられた。
コロコロ、モフモフと愛らしい子供たちは初めて見る外の光景に歓喜の声を上げた。成体の兄妹達は可愛らしい新たな兄妹を囲んで愛おしそうに体を舐めてあげると、シルバーがベーターの兄リランの脚に絡みついた。
「お兄ちゃん遊ぼうよ」
プライドが高いリランは、少しぶっきらぼうに答えた。
「子供と遊ぶのは趣味じゃないが、遊んでやる」
シルバーとリランは沢山の花が咲いた野原に飛び込んだ。花びらが宙を舞った時、光り輝く一頭(いっとう)の銀色の蝶が、羽を羽ばたかせてシルバーの頭の上に留まった。
「お兄ちゃん、これなあに?」
「蝶々」
「蝶々さんも一緒に遊ぼうよ」
するとオメガの兄ノントが二匹のもとにやってきて、蝶を眺めた。
「生と死を司る神様がこの森林に住んでいるんだよ。死んだご先祖様の魂が蝶々になって地上に舞い降りてくるんだ。だから自分たちの毛と同じ色の羽を持つ蝶々は傷つけちゃダメなんだよ」
リランが呆れる。
「くだらん迷信だ」
「おいらは信じてるよ。きっとご先祖様も可愛い兄弟たちを見にきたんだ」
「じゃあ僕も信じる!」蝶が羽を広げ、空を飛んだ。「蝶々さん、また遊びに来てね」
ジュダとレイラが歩み寄り、ジュダがリランに言った。
「俺も母さんも蝶々がご先祖様だって信じてる」
リランは鼻で笑う。
「そんな父さんまであり得ない迷信を信じてるんですか?単なるちょっと綺麗な蝶々ですよ」
レイラが言う。
「この子は目に見えるものしか信じないのよ。本当に夢がない子ね」
「ほっといてくださいよ」
蝶が去ってからシルバーは、レイラの乳首に吸い付いた。
「お母さん。おっぱい欲しいよぉ」
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